散財日記

散財の記録

革製品の選び方

革製品を選ぶのって結構難しいです。私自身、革に興味を持ってからまだ一年半で、やっと自分なりの判断基準を持てるようになりましたが、最初はネットで「革」とか「財布」とかをキーワードにググッて、出てきた店やブランドで評価が高いところを選び、お店で店員さんに質問しながら、そこで気に入ったものを買うって感じでした。

 

振り返ってみると、これは良くなかったです。問題点としてネットで高評価=良い物というバイアスが掛かってしまい正しく判断が出来ないです。一時期、ステマという言葉が流行りましたが、ネットで発信されている情報は宣伝要素が強いものが多々あるので尚更です。

 

個人的にはランキングなど順位付けがあるものは、順位を無視して単なる店リストと見たほうが良いと思います。

 

では、選ぶポイントとしてブランドの知名度は考慮しないかというと、正直言ってあまり考慮しません。営業職などをやってて出先で舐められないように高級ブランドを持つとか、そういう場合は違ってきますが…

 

なので、まずは素材、革です。工業製品に慣れていると同じ名前の素材なら、それほど大きく違いませんが、革は同じメーカーの同じ名前の革でも相当違います。お店で「xxという良い革を使っています」と言われても、それだけではあまり安心材料にならないので注意です。

 

また、革の名前も特定メーカーの特定の革を指していると思えば、単なる分類だったりするものが同列で語られていて、革を知らない人はまず、勘違いします。自動車にたとえると、プリウスカローラといった特定のものと同列にワゴンとかトラックみたいな大雑把な言葉も飛び出すような感じです。

 

具体例を挙げますと、ブッテーロやミネルヴァボックスなどは特定のメーカーの特定の革です。コードバンやブライドルレザーなどは革の種類であって、どこの製品なのかは言っていません。つまり、高品質なブライドルレザーの説明を一般論として話してブライドルレザーって凄いと思わせた後で、安物のブライドルレザーを売りつけられることもあるのです。

 

じゃぁ、ブッテーロやミネルヴァボックスなら名前で判断して大丈夫かというと、そんなことはありません。革は天然物なので個体差が大きいですし、等級付けもされています。また、元は良い革だったけど問屋の保管状態が悪くてダメになっているという可能性もあります。

 

結局のところ、実物を見るしかなく、しかも良し悪しが判断出来るようになるには同じ革でも複数の製品を見なければなりません。

 

革の話をしたので、今度は縫製について。良い革を使っても職人の腕が悪ければ、台無しです。もしかしたら、革は高級ではなくても、腕の良い職人のなら安くても満足がいくのでは、と思うかも知れませんが、そういう製品を見つけるのは困難です。逆説的になりますが、高級な革を仕入れるのは職人にとってリスクが高いです。そういうリスクを背負える職人は必然的に腕が良いです。それに良い職人は、よりよい作品を作ろうと良い素材を貪欲に探します。素材に興味を持たない職人はやはりそれなりの腕なのが現実です…

 

乱暴な話ですが、扱っている素材で絞り込むのは意外と効果的だったりします。(あくまで絞込み、決定はしない)

 

例外は、大手メーカー品。素材は良いものを集めてくるのに、職人に払うコストはケチって量産のノルマを厳しくして、仕上げはそこそこ、なんてこともありがちなので、上記の話はあくまでも個人レベルでやっている職人の話だと思ってください。(追記)量産の効率を重視すると製作に時間が掛かる難しいパターン(型)は避けるため、製品に表情が無く、整っているけど面白みに欠けるものになり勝ちです。この手のものは中国製の方が優れているので、日本の職人の技術力を見たいのなら量産向けの形は避けたほうが良いと思います。ついでに言うと、中国の職人を日本に連れて、日本で作っているからメイドインジャパン(嘘ではない)みたいなのもあるので、やはり製品で判断するべきでしょう。

 

長々と書いていますが、こんな説明じゃ革製品を選べるようにならないよね、というのが正直なところ。100%満点は取れないけど、ハズレは引かないことをゴールとして、選び方のショートカットを紹介します。かなり乱暴ですが。

 

まず、革。沢山ありますが、ブッテーロ、ミネルヴァボックス/リスシオ、シュランケンカーフから選びましょう。革と製品の良し悪しを判断するには自分の中にモノサシを作る必要がありますが、とりあえずシュランケンカーフならル・ボナーさん、その他はWILDSWANSさんのを見て触って説明を聞きましょう(買うわけではない)。自分なりに良さが掴めたら、ネットを検索して評価の高そうなお店を片っ端から見て回ります。自分の中でモノサシが出来ているので、店員の説明を鵜呑みにして買う心配もないはずです。で、同レベルだけど安いとか、高いけどより高レベルとかのものを自分の懐事情に合わせて選べば良いです。どれもイマイチならモノサシにつかった製品を買えばOK。

 

これで、そこそこ合格点を選べると思います。