散財日記

散財の記録

大量生産とオーダー生産

以下は、革の業界しか考えてないけど。

 

景気の悪化に加え、台風などの自然災害や消費税のアップにより気分的に買い物する気になれない人が増え、アパレルを中心にかなり厳しい状況になっています。一方で、食費などを削っても嗜好品にお金を掛けるタイプを捕まえている店は比較的、軽微な落ち込みで済んでいます。

 

百貨店のように中途半端な品質のものを大量に売って、余ったらセール。しかも、セールで売ることを見越した価格付けをしていると、嗜好品に金を費やすタイプは見向きもしません。おそらく、セレクトショップに客を取られまくっていたことでしょう。

 

では、セレクトショップは安泰かというと、扱っている品物の良し悪しはさて置き、結局のところ仕入れて販売しているため、百貨店ほどではありませんが利益構造に限界があります。究極的には職人が自分で作って自分で売るのが一番儲かるわけで、自分で販売網を構築できる職人もちらほら出ており、比較的個人でやり易い革小物などに売り上げが偏重しているショップはジリジリ苦しくなると思います。

 

もちろん、ブランド力は未だ有効であり、すぐに職人から購入する流れになることはありませんが、手を拱いているとどうなるか分からないので、パターンオーダーを行うブランドも増えています。実際のところ、パターンオーダーを始める目的の半分くらいは儲けるというよりも、個人でやっている職人へ流れないようにするためじゃないかと思っています。(とは言え、斬新なデザインやファッション性まで考えられる職人はそうそういないので、男性向け革小物とかある程度限定的なところに落ち着くと思います)

 

価格を理由に買う(セール狙いの)人だけを相手に商売すると不景気時に苦しいので、セール頼みの大量生産はやめて、必要な分だけ作り、価格に余計な費用は乗せないようにするのが理想なんですけどね。

 

nobunozaさんのところでやっている試みは、大手メゾンやハイブランドの製造を担っているファクトリーにオーダーメイド可能にするもので、買い手側にとって魅力的ですが、作り手側も大量生産、コスト圧力などでじり貧になっている状況からの脱却に繋がります。イタリアの職人も日本と同じような問題を抱えており、その上、イタリアはEUになってからずっと不景気が続いており切実なものがあります。だからこそ、日本からのオーダーメイドに協力したんだと思います。